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対人支援とインテグラル理論

先日、告知をしたように、臨床心理士として活躍される廣田 靖子さん(https://mindset.tokyo.jp/)と一緒に「対人援助職のためのインテグラル理論入門講座」(オンライン)を開催します。

 

告知・対人援助職のためのインテグラル理論入門講座(オンライン)
http://norio001.integraljapan.net/?eid=379

 

先日、確認したところで、ほぼ定員に達したとのことでしたが、もしかしたらまだ数名の枠は残っているかもしれないので、御興味のある方は、上記のリンクより御連絡いただければと思います。
今回の企画に関して廣田さんより話をいただいたときに、はじめに思ったのは、「インテグラル理論の価値というのは、心理臨床をはじめとする対人支援に携わる実践者の方々こそ、もっとも実感をともなって理解してもらえるのではないか……」ということでした。
インテグラル理論には、精神的な大きな危機に直面しているクライアントに寄り添うときに、その危機に的確な意味づけをし、それをクライアントが自己の人生の中に的確に位置づけるのを支援するために必要となる概念がひととおりそろっています。
そして、対人支援の重要な要素のひとつが、意味の構築という、人間の中に息づく根源的な欲求を充たすための支援を提供することにある以上、多様な人間が普遍的に経験することになる共通のダイナミクスについて概念的に認識していることは――そして、それを生きた人間の生々しい現実に耳を傾けながら、それを意味ある物語として編み上げるプロセスに効果的に寄り添えることは――優れた支援者としての重要な条件となります。
もちろん、そのほかにも、支援者に求められるスキルは数多くありますが、これは特に重要なものであるといえます。
インテグラル理論の提唱者であるケン・ウィルバーは、「意識ができることそのものが治癒をもたらすのである」という意のことを述べていますが、そのためには、的確に「概念化」できるが力が必須となるのである。
このあたりは、正にインテグラル理論が本領を発揮するところといえるのです。
また、こうした能力は、クライアントの状態・状況を的確に把握・診断する能力と密接に関連しています。
共同作業に於いて、クライアントの積極的な関りが必須となる以上、先ずは現状に関する把握と診断にクライアントが深く納得できることは非常に重要になります。
そこで躓いてしまうと、その後の作業は半ば不可避的に難航することになるからです。
長年にわたり対人支援をしていると、ときとして、「解決されるべき問題」として自己を認識することで(実存主義心理学者ロロ・メイの言葉)、他者が推し量れないほどに深い苦悩を抱えている方々を支援することがあります。
とりわけそうした場合には――これは被支援者としての自分自身の体験にもとづいて確信をもって言えることですが――支援者は、そうした特殊な苦悩の存在に開かれた理論体系を体得していることを必須の条件として求められることになります。
そうした背景を携えてクライアントと出逢うことができないと、その瞬間に相互の関係が半ば有効性を失ってしまうことになるのです。
そうした意味でも、支援者が真に統合的な概念体系を習得していることは、大きな価値をもつことになるのです。
今回の講座では、こうしたことに留意しながら、初学者の方々にもたのしんでいただけるよう、インテグラル理論を紹介していきたいと思います。